振られた私を御曹司が拾ってくれました。
ランチが終わり、私と美優は職場に戻るため、エレベーターに乗った。
そして、スイーツ開発部のある3階のフロアでエレベーターの扉が開く。
エレベーターの扉がゆっくり開くと、ちょうどそこには、なんと駿と秘書の桐生さんが立っていた。
駿を見ると、今朝のキスを思い出し、急に心臓がうるさく鳴りだし、顔が熱くなる。
美優はいつもの通り、駿と桐生さんに挨拶をする。
「氷室専務、お疲れ様です。」
駿も美優の挨拶に微笑んで応えている。
「お疲れ様。お昼は屋上にいたのですか?天気も良くて気持ち良いですね。」
なんとなく胡散臭い笑顔に見えるのは気のせいだろうか。
そして、歩き出し、すれ違った瞬間に駿が耳元で囁いた。
「琴音、顔が赤いぞ、どうしたのかな?」
「…っな!」
振り返ると、もうエレベーターのドアが閉まるところだ。
駿は私の反応を見て、喜んでいるように見える。