振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「私は、二階堂祥子。駿くんの許嫁なの。あなた名前は?」
「私は…葉月琴音です。」
「琴音さん、残念だったわね…駿くんと結婚して玉の輿を狙ったの?」
(…なんて失礼な人なんだろう…いくら許嫁でも許せない…)
「そんなこと、考えたこともありません!」
すると、祥子さんは、いきなり表情を変えた。とても恐い顔だ。
美しい祥子さんの顔が、鬼のように見える。
そして、私に近づいてきた。
『バシッ!』
頬に衝撃があった。ゆっくりとジンジン痛みが広がる。
祥子さんに、私は平手打ちされていた。一瞬のことだった。
「大丈夫か、琴音!」
駿が庇うように私の前に立った。
祥子さんの方に振り返り、肩を震わせて怒っているのが分かる。
「祥子さん、帰ってください!あなたを僕は許さない。」
駿の怒った顔を見ながら、祥子さんはさらにケラケラと不敵な笑いをする。
「駿くん、いくら怒っても、あなたは逃げられないわよ…私と結婚するのよ。」
「僕は、貴女となんて、絶対に結婚しない。」
「あらぁ~、駿くんのパパは何と言うかしらね。今日は帰ってあげるけど、また来るわね。」
祥子さんは楽しそうな笑顔で、家を出ようとするが、もう一度振り返った。
「琴音さん、次に会うときが楽しみね。」
祥子さんは、最後に意味が分からない事を言って、家を出て行った。