振られた私を御曹司が拾ってくれました。
運転手の清水さんの隣には、桐生さんが乗り、私は後部座席に乗せてもらった。
「それでは、出発しますね。」
清水さんは私達に声を掛けると、車を走らせる。
(…桐生さんの家ってどんな感じなのかな…綺麗に整えられていそう…)
車は思っていたよりも、だいぶ早く到着したようだ。
まだ、走り始めて20分くらいだろうか、高層ビルまではいかないが、大きなマンションの前で車は停車した。
「…このマンションでしょうか?」
すると、桐生さんは首を横に振った。
「マンションの隣の一軒家だ。」
「…っえ?」
桐生さんの言葉に驚き、マンションの隣を見ると、2階建ての大きな一軒家が建っていた。
まさか、ここに一人暮らしなのだろうか。
少し古いお家ではあるが、庭付きの大きな一軒家だ。
「ここは、両親が建てた家だ。驚いただろ?」
「ここに、お一人で住んでいるのですか?」
「あぁ、両親は離婚してそれぞれ海外に行ってしまったんだ。だからここは私が一人で住んでいる。」
やっと駿の言っている意味が分かった。
桐生さんの家は大きくて部屋がいくつもあると言っていたのは、このことだったのだ。
確かに、大きくて部屋も沢山ありそうだ。