振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「どうぞ、入ってください。」
桐生さんに続き、私と清水さんは家の中へと入らせてもらった。
玄関から廊下を通り、リビングへと向かった。
そして、リビングのドアを開けたその時、私は驚きで声が出なかった。
「き…き…桐生さん…これは…」
驚きすぎて、言葉が出てこないくらいだった。
なんと、とても広く立派なリビングだが、足の踏み場が無いほど物で溢れている
全くと言って良いほど、片付けがされていない。
「…あまり、見せたくなかったのですが…実は片付けが苦手で…少し散らかっています。」
桐生さんは、恥ずかしそうに口元を押さえているが、これは少し散らかっているというレベルではない。
清水さんも驚きは隠せないようだ。仕事が出来て、頭が切れると有名な桐生さんのイメージと正反対だ。
会社で見る桐生さんと、この部屋にいる桐生さんは別人なのかと思うほどだ。
「…か…片付けましょう!清水さん手伝ってください。」
私は清水さんと顔を見合わせて、すぐに片付けに取り掛かった。