振られた私を御曹司が拾ってくれました。

その日の夜、私は夕食を済ませて、桐生さんの帰りを待っていた。

桐生さんは帰りが遅いし、朝は早く家を出てしまうので、食事は別々にしようと言っていた。
しかし、一応念のため、桐生さんが食べても良いように、今日はカレーライスを多めに作ってある。


私が桐生さんを待っている理由は、今朝、訪ねて来た高橋という男性について聞きたかったからだ。桐生さんは、何か知っているかも知れないと思ったからだ。

しばらくすると、玄関で物音がした。桐生さんが帰ってきたようだ。

「桐生さん、お帰りなさい。」

桐生さんは待ち構えていたように、声を掛けた私に驚いた顔をした。

「…た…ただいま。」

「桐生さん、よろしければ、カレーライス作ってあります。…それと、少し伺いたいことがあるので、よろしいでしょうか。」


桐生さんは、スーツから私服に着替えて部屋から戻って来た。
私服姿もお洒落だ。スポーツブランドのスウェットとパーカーを羽織っている。
とても、掃除や片付けが出来ない人には絶対に見えない。


「葉月さん、私に聞きたい事とは、どのような事でしょうか?」

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