振られた私を御曹司が拾ってくれました。


『ピロピロピロ…』


いつも聞き慣れたスマホのアラーム音で目が覚めた。
昨日は駿に抱きしめられていた緊張で、朝方まで眠ることが出来なかった。

ふと隣を見ると、すでに駿の姿が無い。
慌てて飛び起きると、ベッドの横のテーブルにメモが置いてあった。


“ 気持ちよさそうに眠っていたので、起こさないで先に出ます。”


駿は先に東京に戻ったようだ。昨日は忙しい中、かなり無理して来てくれたのだろう。
ほんの少しの時間だったけれど、駿と会えたことは私にとって大きなサプライズプレゼントだった。


ホテルを出発する前に、ボディガードの女性へ連絡をする。
部屋を出る時は、必ず連絡する約束をしていたのだ。


「葉月さん、おはようございます。今日も何があるか分かりません。何かあれば私は近くにおりますので、必ず声を掛けてください。」

「…はい。よろしくお願い致します。」


私はこれまでボディガードという職業は、テレビなどで見ることしか無かった。まさか私自身がお世話になるとは驚きだ。

昨日は気が付かなかったが、彼女はとても手足が長くスタイルが良い。
ショートカットの似合う美しい女性だ。
とてもボディガードのような、体を張る仕事の女性には見えない。
年齢も私と同じ年くらいだろう。


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