振られた私を御曹司が拾ってくれました。
東京に向かう帰りの新幹線は、未来と友人のように隣同士の座席に座った。
すると、未来が急に小声で話し始めた。
「琴音、絶対に後ろは見ないでね…気になる人物が、私たちの斜め後ろに座っているわ…ホテルからずっと一緒だった女性よ。」
「…女性?」
私は持っていた鞄をわざと膝から落として、拾うふりをしながらチラッと斜め後ろの座席を見た。
そこには、マスクと眼鏡をかけた女性が座っていた。
髪は明るい茶色で、綺麗なボブの髪型だ。
(…あの女性は誰?あの姿は変装に見える…)
「…未来、…あの姿は変装だよね?」
「私もずっと思っていました…あまりにも違和感のある外見ですよね。」
その女性は、東京駅に着くまで動かず、特に怪しい動きは無かった。