振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「そうだ…琴音が居ない間に、社長の息子さんが海外の支店から戻って来たんだよ。専務になったんだけど…それが驚くほどイケメンでさぁ、女子が大騒ぎなんだよ…」
美優は目をキラキラと輝かせて嬉しそうだ。
そんなにもイケメンなら私も早く見てみたい。
すると、美優が私の腕を掴んで走り出した。
「…美優、どうしたの?どこに行くの?」
「早く…早く…噂の専務だよ…」
美優に引っ張られるようにして、連れていかれた先には、男性が二人こちらに向かって歩いて来ていた。
どうやら美優の言っていた専務と秘書の男性のようだ。
「琴音、あの二人が、氷室専務と秘書の桐生さんだよ…氷室専務はもちろんイケメンだけど、桐生さんもクールでカッコいいのよね…」
美優に言われ、私は二人の男性に注目した。
近づいてくる男性の顔が見えてきた。
(…っえ?うそでしょ!!)
「…っあ!」
私は突然大きな声を出してしまった。
隣にいる美優が怪訝な顔をしている。
そして、氷室専務と霧生さんは声を出してしまった私のほうを見た。
次の瞬間、氷室専務が目を丸くして驚いている。
「…君は…あの時の?」