振られた私を御曹司が拾ってくれました。
「あ…あなた…あなたは確か、氷室専務の許嫁…二階堂祥子さんですよね。」
なんと、その女性は変装をした、駿の許嫁である、祥子さんだった。
印象的なロングの黒髪を隠すように、明るい茶のウイッグを被っていたのだ。
「…バレていたならしょうがないわね。」
祥子さんは、開き直ったように私を睨んだ。
「…祥子さん、なぜ私を尾行しているのですか?」
すると、祥子さんはクスクスと怪しい笑い方をする。
「琴音さん、あなたは手切れ金も断ったそうね…しかも、昨日は駿を、わざわざ大阪まで呼びつけるなんて…」
「ち…ち…違います。呼びつけるなんて…していません。氷室専務は、フェスティバルで危険な目に遭わないかと、心配してくれたのです。」
祥子さんは、急に恐い表情に変わった。背筋が凍るような恐い顔だ。
美しい祥子さんの顔が鬼のようになっている。
「…本当にあなたは、しぶといわね…昨日は薬で眠らせようと思ったら、そこに居る女が邪魔するし…あなたは消えて欲しいのよ!そうすれば駿は私を愛してくれるわ。」