振られた私を御曹司が拾ってくれました。

「琴音、また帰る前に必ず連絡してね。…それと、なるべく一人にならないように、くれぐれも注意だよ。」

会社の玄関で未来は心配そうな顔をした。

「未来、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。また、会社を出る前に連絡するね。」

すると、未来は私に小さなキーホルダーを手渡した。
可愛いクマのマスコットが付いている。

「このキーホルダーはGPSになっているので、念のため必ず持ち歩いていてね。」

私は渡されたキーホルダーをポケットに入れて、大きく頷いた。

「…ありがとう。これがあれば安心だね。」

未来は、私が会社の中に入るのを玄関で見届けてくれていた。


< 83 / 128 >

この作品をシェア

pagetop