振られた私を御曹司が拾ってくれました。


“コン、コン、コン、”

「桐生です。葉月さんをお連れしました。入ってもよろしいでしょうか?」

「あぁ…入ってくれ。」


中から男性の声がした。社長だ。

ドアが開き、社長室の中へと歩き始めた。
社長室の中に入るのはもちろん始めてだが、思っていたよりもシンプルな部屋に驚いた。
社長室のイメージは、豪華な応接セットや高級そうな置物がありそうだが、この部屋は意外にも会議室のような雰囲気だった。
もちろん社長用の大きなデスクは置いてあるが、机の上にもノートパソコンが置いてあるだけだ。

「葉月さんだね、呼び出して悪かった。そこに座ってくれ。」

社長のことも、こんなに近くで見るのは初めてだ。
よく見ると、端正な顔立ちは駿に似ている。駿はお父さんに似ているようだ。


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