振られた私を御曹司が拾ってくれました。
私が椅子に座ろうとしたその時、ドアをノックする大きな音がした。
そして、社長が返事をする前に、そのドアは開けられた。
「社長、どういう事でしょうか!」
その声は駿だ。慌てて駆け付けたのだろう、息が切れている。
「駿、ここは会社だぞ。いきなり入ってくるとは行儀が悪いな。」
「社長、なぜ葉月さんがここに居るのですか?」
すると、社長は口を開けて大きく笑った。
「うちの社員を社長室に呼んではいけないのかな?…それよりも、なぜお前はそんなに慌てているのだ。何か疚しい事でもあるのか?」
駿は怒った表情で、社長を睨みつけている。
さらに社長は話を続けた。
「駿、分かっているなら話が早い。今すぐ葉月さんと別れなさい。そして葉月さんには家を出てもらってくれ。」
「父さん、何を言っているんだ。勝手なことを言わないでくれ。」
駿は私の手を掴むと、社長室から出ようとした。
「駿、どうしても葉月さんと別れたくないというなら、愛人にでもなってもらうんだな。お前はこの会社の次期社長だ、会社のためにも祥子さんと結婚するんだ。」