振られた私を御曹司が拾ってくれました。
会議室のテーブルには、取り寄せた食品のサンプルを、かなりの量を並べてみた。
和菓子風のスイーツから、この会社で扱う食品を多種にわたって用意したのだ。
「KOTONE、今日はお招きいただき有難うございます。私はアジームです。そして横に居るのは秘書のカシムです。よろしくお願いします。」
アジームさんは笑顔で握手を求めて来た。
「…私は葉月琴音です。先日のスイーツフェスティバルでは、お越しいただきありがとうございました。」
私はアジームさんと握手した後、秘書と紹介されたカシムさんと握手をした。
アジームさんは、アラブ系の風貌だが、お母様が日本人と言っていた通り、少し日本人の雰囲気もする。端正な顔の男性だ。ハリウッド俳優と言っても誰も疑わないだろうと思う。
驚くほど長い睫毛、そして吸い込まれそうなダークブラウンの瞳。
高すぎない形の良い鼻に、少し薄く形の良い唇。
…綺麗すぎて恐い。
そして、秘書のカシムさんは、典型的なアラブ人という感じの男性だ。顔の堀が深く彫刻のような顔をしている。