振られた私を御曹司が拾ってくれました。
車は会社を出て、すでに1時間以上は経っている。
(…私はどこに連れていかれるの…)
車は海の見える海岸線沿いを走り始めた。
海は波がキラキラと太陽に反射している。
私が何気なく海を車の窓から眺めていると、アジームが耳元に顔を寄せた。
「琴音は海が好き?」
突然耳元で囁くような声に心臓がドクンと跳ね上がった。
急に顔が熱くなる。
「アジーム、突然に驚かせないでください!」
アジームは面白がるようにクスクスと笑っている。
「琴音、真っ赤になって可愛いね…これからもっと海の見えるところへ連れて行くからね。」
車は間もなくして、船の停まっている港に到着した。
豪華なクルーザー、ヨットなどが停泊している。
「琴音、着いたよ。」
アジームは車を降りると、私の手を取り、歩き始めた。
もちろん、カシムさんも後ろから歩いてくる。
そして、一艘の豪華なクルーザーの前で立ち止まった。
アジームはそのクルーザーを指差した。
「このクルーザーで島に行くんだ。プライベートアイランドだ。」
「プライベートアイランド?」
「あぁ、僕の島だよ。」