【書籍化】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています


――突然のキスから一週間後。

なんと、早くも島田さんとのお見合いの日がやってきてしまった。

わぁ……どうしよう。

私は自宅アパートから徒歩数分の距離にある、高級ホテル“President TAKEMOTO”の上質なロビーのソファでひとり、高鳴る心臓を抑えていた。

――ばっくん。ばっくん。

正確には、両親の同席がない、会長を挟んだ『お見合い』という名の引き合わせで、当然会長も同席するのだけれど。

待ち合わせ場所にやってきた現在、頭の中はこれから行われることでいっぱいいっぱいで、周囲のにぎわいも、昼間なのに眩いシャンデリアの光も、目にも耳にも入らない。

『――この件の決定権を國井さんに渡します』

まさか、あんなことがあって本当に叶うとは思わなかった。
島田さんは本当に判断を委ねてくれたようで、今日を迎えることができた。
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