【書籍化】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(秘書室の悪魔とお見合いしたら)
言いたいことは、たくさんある。
私のことを買いかぶりすぎだ、とか。
どこからそんな自信が溢れてくるんですか?、とか。
そんな危ういお見合い、普通は勧めませんよ?とか。
そして……、私の想い、気付いていたりするんですか?とか。
けれども自信満々に言い放つ会長には、全てを納得させてしまうような不思議なパワーのようなものがあって。
私は反論のために開こうとした唇を、しだいに引き結んでいた。
「返事は意思が決まりしだい、メッセージでも入れてくれれば構わんから。それしだいであいつには、わしから声をかける」
信じられない状況に唖然としながらも、熱心な口説き文句に押されるようにして
「承知、しました」
気づけば、そう了承していた。
その後、どとこなくぼんやりしたまま会長と雑談を交わし、先に帰るように促され秘書室に戻った。