【書籍化】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています(秘書室の悪魔とお見合いしたら)
そんなことの始まりは、その日の朝に遡る――。
定例の株主総会を終えてホッとしているのも束の間。
朝から社内掲示のあった月曜日の秘書室は、とにかく朝から慌ただしく、非常に騒がしかった。
いつものように、就業時間前のルーティン作業を処理していると、背後のデスクから同僚たちの会話がヒソヒソと聞こえてくる。
「――ねぇ、坪井さん見たー? エントランスの掲示版。もう絶望なんだけど……」
「あぁ、今月の下旬から、グループ企業の御曹司が研修受けにくること? そのおもてなし役に、我らがゼネラルマネージャーが抜擢されるとは、さすがだよなー」
「……はぁ、ほんと、たまにこっちに顔をだすだけで面倒なのに。赴任してくるだなんて……最悪よ」