【書籍化】離縁前提の結婚ですが、冷徹上司に甘く不埒に愛でられています
「――後悔のないよう、よく考えてから判断してください」
「こう……かい…」
「――あなたの好きな秘書室の悪魔は、あなたを手籠めにしようと目論んでるような、とっても悪い奴かもしれないですから――」
それって、どういう――
口を開く前に、彼の腕がこちらへ伸びてきて。優しく頭を引き寄せられると同時に、彼の唇は私の唇を塞いでいた。
一瞬、自分の身に何が起きたのかわからなかった。
キスをされていることに気づいたのは数秒後で。
じっと目を開いたままこちらを見つめ、ひんやりとした唇が角度を変えながら交わってくる感触を、されるがまま受け入れていた。
咄嗟に引きぎみになる私の腰を引きつけ、言葉を封じ込めるようにして甘やかに噛みついてくる薄い唇。