クールな美形王子の誘惑
はぁ〜…と頭を抱えながらため息をつく八雲さん。
大人っぽい人だって思ってたのに、
落ち込む八雲さんがあまりにもかわいく見えて、ちょっとキュンとした。
「……さくらちゃんも、
真剣な気持ちが伝わったら、許してくれると思います」
「え?」
「さくらちゃんってちょっと冷たく見えるけど、
でも、梓くんのことで怒ってくれた」
梓くんのこと、
ちゃんと、“友達”って思ってくれてるから、怒ってくれたんだと思う。
「友達のために怒れる、優しくて、本当は熱い子なんです」
「…友達……」
八雲さんはなにか考える素振りを見せると、
「……ごめん、オレ、帰るわ」
暗い声で呟いて、
「お皿とかシンクに置いといていいから」って付け足して部屋を出て行ってしまった。
私、かける言葉…間違えちゃった…?
励ますつもりだったのに
落ち込ませてしまった…。