クールな美形王子の誘惑
あ、服の上乗っちゃったの怒ってる…!?
「ごめ…服ぐしゃぐしゃにして…!」
散らかってるように見えるけど、梓くんの中ではわかりやすく置いてたのかも!?
でももうぐしゃぐしゃで元の位置なんてわかんない。
「あの…荒らしてごめん…」
「……違う。
そうじゃなくて」
まだ赤い顔のまま、焦点が定まってない視線が床を見ていた。
「……俺、
洗濯物も畳まない、片付けない。
こたつも出しっぱなし、料理もできない…。
なんにもできなくて、
あずのことガッカリさせてる…」
しゅん、と項垂れる梓くん。
ガッカリなんて、そんな…
「してないよ」
ちょっとできないことがあるくらいで、ガッカリなんてしない。