クールな美形王子の誘惑
できないことがあって当たり前だ。
「私だってできないことたくさんあるよ。
私も部屋の掃除、苦手だもん」
「……そうなの?」
「うん。
マンガとか山積みにしちゃう!
そしたら、倒れて床見えなくなっちゃうし!」
今のこの、服で埋まった梓くんの部屋と、そんなに変わらないかもしれない。
「……あずでも、そんなところがあるんだ」
「あるよ。
完璧じゃないんだから」
どこをとっても“普通”だもん。
自信を持ってできる!って言えることの方が少ないくらい。
「だから、そんな落ち込まないで」
「……でも、
八雲クンのこと、褒めてた」
「え?」
「料理できるってすごいって…。
八雲クンの方が、俺より魅力的?」