クールな美形王子の誘惑
マネージャーさんに任せて、帰ろうと寝室を出ようとしたら
「……、?」
袖を引っ張られて、思わず後ろを振り向いた。
「梓くん?」
「……そばにいて」
ポツリと、小さな声でそう言われたけど、梓くんの目は閉じたまま。
寝言かと思って、
「マネージャーさんがいるから大丈夫だよ」
そう言ったのに
袖を掴む手は離れなかった。
「……梓くん」
「もう。
あずさちゃんを困らせちゃダメでしょ」
床に散らばった服を集めながら寝室に入ってきたマネージャーさんが、私の袖を掴む梓くんの手を解いた。
「酔ってるくせに力が強いのねぇ。
ごめんね、あずさちゃん」
「いえ…」