クールな美形王子の誘惑
最初、荷物持ってもらうのを断ったのも、八雲さんが重いだろうからって気を遣ってだと思うし、
料理してる時も手伝おうとしてたし、
カレーもめっちゃ褒めてたし。
警戒心は全然なかったように見えた。
だから…複雑なんだと思う。
「悪い人じゃないってわかってるだろうけど、簡単には許せない…みたいな」
「あぁ〜。さくら、素直じゃないからなぁ」
「それと…」
八雲さんを好きって言ってる彩奈ちゃんに言っていいのかと思ったけど、
全部は話さずに、ぼんやりと濁して訊いてみる。
「彩奈ちゃんはさ、
八雲さんに彼女とかいたら…どう思う?」
「え?別に、いてもいいんじゃない?
こんなにカッコいいんだから、いない方が不思議?みたいな」