クールな美形王子の誘惑
好きって言うわりには、結構アッサリしてる。
「あたしはファンとして好きなだけだし、
裏で本命の彼女がいても普通だと思うけど」
「ファン…」
「んー…八雲くんは“推し”みたいな?
あたしが幸せにしたいとかじゃなくて、
推しが幸せならオールオッケーって感じ」
『推し』…
私が梓くんに思ってる感情と同じってこと?
「もし八雲さんが、
モデルとか芸能人とかじゃなくて、
私たちと同じようなごくごく普通の一般人のことが好きだとしても…
彩奈ちゃんは、『私の方が相応しい!』とか思わない…?」
「全然。
だって、芸能人だって一般人と結婚してる人たくさんいるじゃん。
同じ一般人でも、その人が特別ってことでしょ?
“特別”を決めるのは八雲くんであって、あたしじゃないし」