クールな美形王子の誘惑
駅のケーキ屋さんに来たら、制服を着た学生がちらほら並んでいた。
「みんな学校帰りみたいだね」
「目の前でなくなったらどうしよ…!!」
「あずめっちゃ楽しみにしてるじゃん」
私を見て、ははって笑ったさくらちゃんが、
視線をお店に戻した瞬間、「あ」って声をあげた。
「え、どした?」
「……あれ、プリンスじゃない?」
列の前の方にいて、流れにそってお店に入っていく人。
それが、背の高い金髪の人だったからか、さくらちゃんがそう言った。
「いやいやさくらちゃん、
学校休んでるのに梓くんがいるわけ…」
背の高い金髪の人なんて、たくさんいるし…
そう思いながらさくらちゃんの視線の先を見ると、
それは確かに、見覚えのあるシルエットだった。