クールな美形王子の誘惑
さくらちゃんの反応を見て、人差し指で頬を掻きながら小さな声で言う八雲さん。
それに対してさくらちゃんは。
「……あずと彩奈が行きたそうだから、
行きます、けど…」
なんだか少し恥ずかしそうに、そう呟いた。
私や彩奈ちゃんを理由にしてたけど、
たぶん本当は、さくらちゃん自身が行きたかったんだと思う。
きっと、八雲さんとも仲直りしたいんだ。
「じゃあ、行こうか。
話したいこともあるし」
これ以上長居すると八雲さんが悪目立ちするなと思って、急いでケーキ屋さんの列を離れた。
「……」
去り際に店内を見ると
金髪の男女が仲睦まじくケーキを食べていて、
あまりにもそれが、お似合いだったから
「あず?
どしたの、早く行こ!」
「……うん」
胸がチクリと痛んで、涙が出そうになった。