クールな美形王子の誘惑




『恋人になりたい』




……梓くんにとって“恋人”は


遊び…みたいなものだってことなのかな。




「……」



「あず…」



「ん?
あ、本当に大丈夫だよ!
梓くんあんな顔だし、海外に婚約者の一人や二人いてもおかしくないし」




さくらちゃんと彩奈ちゃんが心配そうに見てくるからそう返しておく。



うん、そっかそっか。恋人なんて遊びなんだ。



だから私みたいな、普通でなんの取り柄もない人選んだんだ。



そっか。なんか、妙に納得しちゃった。




「……えと、
私、帰りますね!」




甘ったるいケーキが、もう喉を通らなくなってしまって、半分くらい残して八雲さんの部屋を出る。



ガチャ、と玄関のドアを開けた時




「……え…

あず…?」



「……!」




隣の部屋に入ろうとしていた、梓くんと目があった。




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