クールな美形王子の誘惑
梓くんが一旦部屋に入っていく。
ガチャリとしまった扉の向こうから、わずかに声が聞こえた。
「……少し出かけてくる!」
梓くんのそう言う声が聞こえて、確信した。
……誰かが梓くんの部屋にいる。
「…ごめん、待たせた!
行こう」
「………うん」
八雲さんに言われた時
嘘だったらいいなって思った。
でも、
嘘じゃないんだって、梓くんが証明した。
「……どこか、行ってたの?」
「あ、うん。
友達がケーキ食べたいって言うから、
隣のコンビニで買って…」
「……そうなんだ」
嘘つき。
本当は駅のケーキ屋さんのカフェスペースで、一緒にケーキ食べてたくせに。