クールな美形王子の誘惑

「だから、誘われたから…」



「なんで警戒心ないのって聞いてんの」




警戒心…って…




「さくらちゃんが八雲さんと話すきっかけを作ってあげたかったからで…」



「じゃあ篠森さんに任せればいいじゃん。
あずまでついていく必要ないでしょ」



「……友達のために何かしたいって思っちゃいけない？」



「……っ、
そういう、わけじゃ…」



「他人と仲良くなろうと思ってない梓くんには、そんな気持ちわかんないよ」




俯きながら梓くんの隣を歩いていたら、


梓くんが急に、ピタリと足を止めた。




「……俺は…あずの気持ちがわかんない」



「……」



「あずは、俺以外に大切なものが多いんだよ。
俺は……あずだけでいいのに。
あずの大切なものは、俺だけでいいのに」