クールな美形王子の誘惑
「わかってるって、なにを…?」
「本当は駅のケーキ屋さんに一緒に行ってたのも、仲良く食べてたのも知ってる」
「……じゃあ、なんでさっき誤魔化したの」
「梓くんが、バレたくなさそうな顔してたから」
「……知ってたなら、別に隠さなかったけど…」
「隠そうとした時点で、
私にはバレたくなかったんだよね?」
私は遊びで恋人になんてなるつもりはない。
本命がいるって知ってて、わりきって遊ばれて、なんて無理。
「……女と一緒に暮らしてるなんて、
良い気はしないだろ」
「しないよ」
「だから言わなかったんだよ」
「でも隠される方がやだよ」
あの時、
さくらちゃんが八雲さんに怒ったの、わかった気がする。
「信用できない」
隠されるって、
こんなにも嫌な気持ちになるんだ。