クールな美形王子の誘惑



『……え?』




きょとんとする俺と目があって、女の子はびっくりした顔になる。




『あ…!
ソーリー!
あいきゃんとすぴーくイングリッシュ…』




俺の顔を見て、外人だと思ったんだろう。



困ったようにそう言った彼女は、『ぷ、プレゼント!!』と言って俺の手を掴んで、無理やりその小さな紙を握らせた。




『ソーリー!グッバイ!』




女の子は俺にぺこりと会釈をして、


乱れたマフラーを直しながら、受験生たちの中に紛れてしまった。




『……あ!』




握らされた紙が何かと思ったら



俺の受験票だった。




え、俺どこで落としてた!?




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