クールな美形王子の誘惑
あの子もあの時、そう思ってたのかな。
そう思ってくれてたらいいなって、今までめんどくさいって思ってた気持ちを、その子が俺に抱いてくれたらいいのにって思った。
───けど、そんなことなかったわけだ?
間違えちゃったな…俺…。
*
「ただいま……」
「おかえり梓!」
「リリー…なんか元気だな」
「そういう梓はゲンキじゃナイ!
ゼッタイうれしそうに帰ってくるって、
オモテタのに!」
「……あー…うん…」
家に帰ったら、出迎えてくれるリリー。
リリーと一緒に暮らしたのは失敗だったかな。
ちょっとだけ日本に滞在するって言うから、俺の方じゃなくて実家の方に泊まらせればよかった。
「悪いな。
リリーに当たっちまった」
「梓…
ゲンキないと、かなしい…」
「んー…大丈夫。
すぐ立ち直れるから」