クールな美形王子の誘惑
え…じゃあ、
もしかして今日、まさに今から
空港に行くのでは…!?
やばい…!もう車は動き出してる…!
学校を出た車は、梓くんの家とは反対の方へ向かってる。
やっぱり空港に行くのかな!?
どうしよう。タクシーなんて使えないし…
電車でギリ、間に合う!?
飛行機に乗る時間が遅かったら、間に合うかもしれない。
もし空港に向かってなかったとしても、それならまだ会えるチャンスがあるかもしれない。
でも、本当に空港に向かってて、今日発っちゃうんだとしたら…
心の準備ができてないとか、言ってる場合じゃない。
バスに乗って、学校の最寄り駅まで向かう。
走って早く駅に着いたところで電車は早く発車してくれないけど、少しでも早く行きたいって気持ちが焦る。
意地張るんじゃなかったとか、
もっと早く話合うべきだったとか、
そんなことばっかりが、ぐるぐる頭の中をまわって。
空港まで向かう電車の車窓からの景色なんて、何も覚えてなかった。