クールな美形王子の誘惑
「…梓くんっ!!」
「……え…
あず!?」
帽子を被ってて、金髪では見つけにくかったけど
それが梓くんだって、すぐにわかった。
「え、あ、あれ…。
さっき、電話では学校に…」
「私、学校にいるなんて言ってない」
「…あ…たしかに言ってない、ね…」
怒ってるようなキツい口調になってしまって、梓くんがしゅん、と肩を落とす。
なんで梓くんが落ち込むのさ。梓くんは嘘ついてたのに。
「……あ、えと、
あずは、なんでここに…?」
「……」
気まずそうな顔をする梓くん。
梓くんに会ったら
海外に行っちゃうのかとか、モデルのこととか
なんで黙ってたのとか
本命の女の子のこととか、結婚とか
聞きたいこと、たくさんあったのに。