クールな美形王子の誘惑
「梓くん…?」
「へへっ。ただいま」
お面を横にずらし、私に笑ってそう言った梓くん。
え……待って、
なんで…?
まだ帰ってこないって…。
さっきまで“寂しい”って思ってたから、
梓くんが目の前にいることが信じられないのと安心したのとで、じわ…と涙が出てきた。
「えっ!うわ!ごめっ…!
あっ、と、とりあえずあっち行って一緒に肉巻きおにぎり食べよ!?」
お店の人にお金を払って、
肉巻きおにぎりを2つ受け取った梓くんは、
ぎゅっ、と強く私の手を握って、人が少ない場所へ移動した。