クールな美形王子の誘惑
急いで片付けて教室を出たら、
梓くんが廊下で女子たちに囲まれていた。
「早川くん電車なの?
あたしも電車通学なんだ〜駅まで一緒に行かない?」
「……」
梓くんは女の子の誘いに乗ることもなく、断ることもなく黙っている。
梓くんは私が教室から出てきたことに気付くと、
女の子たちにベタベタ触られてたところをはたきながら、無言で私の方へ歩いてきた。
「行こ」
「えっ、あ」
取り込み中じゃなかったのかな?って思ったけど、
ぎゅって強く手を握って足早に歩いていくから、そんなこと聞ける雰囲気じゃなかった。