クールな美形王子の誘惑
欲を言えば、彼氏になりたいけど。
「あずさ、幸せ者じゃん」
「えー…ハハ。
まぁ、ね…」
照れくさそうに頭を掻くあず。
ただそれは、俺の告白を断ってる気まずさもあるんだろうな。
「……あっ、すいません、
長い間拘束してしまって」
さっき置いてくって言ってた感じを見ると、お兄さんは早く帰りたいんだろう。
これ以上話してても気まずいかもだし、長いこと話してるのも申し訳ないので、「俺帰りますね」と声をかけた。
「あ!あず、お金明日返すから」
「そんな急がなくていいよ」
そう言って、じゃあね!と手を振るあずは笑顔で。
すっごい迷惑かけてるのに笑顔を向けてくれるなんて、仏かなんか?
そんなあずに、たぶん俺は一生敵わないんだろうなと思った。