クールな美形王子の誘惑
え、どうしよ、目の前に推しがいるんですけど!?
なんで?ってぐるぐる考えていると、緊張のせいか上手く呼吸が出来ない。
「……大丈夫?
顔色悪いけど」
「ご…心配、なく…」
あなたが離れてくれたら、大丈夫だから。
「あのさ、
キミ、受験の日、俺と話したよね?」
「……っ、え…」
「俺が受験票落としてて、
キミ、拾ってくれた子でしょ?」
真正面から見たのは、その時以来。
日本人離れした碧い瞳と、たしかに目があった。
「あ、はい…」
「ありがとう、拾ってくれて。
キミ、あの時すぐいなくなっちゃったから」
お礼言いそびれてた、って目を細める王子に、心臓がギューーーーーンって撃ち抜かれた。