魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
「ということで、一件落着なのです!」

 エルシニアに会い言葉を交わしたことを詳細に告げたあと、満面の笑みとガッツポーズをしてみせる。ヴィオルドは口角を上げてふっと笑い、いつもの小馬鹿にした表情を浮かべて言葉を投げる。

「アンタ大したことしてないから。一番苦労したのは俺だぜ」
「あらあらぁ、ご苦労様ですぅ~。楽してごめんなさいねぇ~」

 ヴィオルドの言葉に対してミーナは煽りで返す。憎たらしい満面の笑みを浮かべ、ふんぞり返るような仕草をしてみせた。ヴィオルドはやれやれといった表情で息を吐く。

 そんなことを言っているものの、彼は内心ミーナに感謝していた。彼女の言葉があったからこそ、エルシニアは理解することができたのだろう。そしてミーナを少しからかうつもりで言った言葉に余裕の態度で煽り返され、ヴィオルドは拍子抜けする。この前までは必死に言い返そうとしていたのに。

 彼女の内面的な成長に感心しながらも、それは態度に出さないでおいた。

「とはいえ、さっきアンタがとったエルシニアへの対応はよかったと思う。助かった」
「えっ、あ、どういたしまして?」

 素直に感謝されることを想定してなかったミーナは、突然のお礼にしどろもどろになる。横から見ていたドルークとフィルに笑われてしまった。

 彼女が混乱しながら再びヴィオルドを見ると、わざと困った顔をした彼は心外であるように口を開く。

「俺だって礼くらいは言えるぜ?」
「そ、それもそうね」

 否定のしようがないミーナは言葉に詰まりながらも同意した。さっき煽り返したときの余裕はどこへやら。結局ヴィオルドの方が何枚も上手(うわて)である。
< 22 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop