魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
 小さな暗い部屋。少年は、重くて長い剣を両手で握りながら震えていた。彼の剣から赤い液体が垂れ、薄汚れた服も赤く染まっている。目の前には何人かの倒れた人間。一番手前にいるのは一組の男女だ。

 その人間達が突然起き上がってきた。その人間というより「かつて人間」だったモノの男女は、気味の悪い笑みを浮かべてケタケタと嗤わらいながら少年に告げる。

「殺したところで俺達からは逃げられない」
「アンタにはアタイらと同じ血が流れているんだから」
「現にもう殺している。お前は既に人殺しだ」
「大人になってからも殺しているんじゃない」
「お前は闇の中でしか生きられない」

 少年は耐えられなくなり、頭を抱えて座り込む。いつの間にかその男女の後ろには、衛兵の任務で葬った死者の幻影も混ざっていた。未来を奪ったものへの恨みがましい目。

 血の滴る剣を握りながらも、少年は恐怖で動けない。嘲笑う目の前の男女。彼は悲痛な叫び声をあげた。

「やめろ! 俺は違うんだ!」
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