魔法の使い方２　恋のライバル、現る！？
　ミーナは昼間のヴィオルドの様子が気になっていた。彼にしては珍しく心ここにあらずといった感じで、一人だけどこか遠くにいるような表情をしている。彼女はあんなヴィオルドを初めて見た。

　明日の午前中は魔法の勉強のため、店の仕事は休みにしている。この時間を使ってヴィオルドの様子を見に行くことに決めた。今日は夜更かしして、明日の分の勉強をすることにしよう。

　しかし、やはりヴィオルドの一件が頭から離れない。今夜魔法に集中するのは難しそうだと魔法書を閉じた。そして、ぐるぐると答えの出ない思考を繰り返す。

　じっくり考えてみると、ミーナはヴィオルドのことをあまり知らないことに気づく。彼はあまり自分のことを話さなかったし、彼女も劣等感に苛まれていた頃は自分のことを話したくなかったため話題に出さなかった。若いうちから才能を認められ、周囲からも頼られているヴィオルドに人生の悩みなど無い気がしてずっと羨んでいたが、果たして本当にそうだったのだろうか。

　そしてミーナにはもう一つの疑問が生じる。ヴィオルドのちょっとした異変になぜこんなにも考え込んでいるのだろう。なぜ他のことが手につかないのだろう、と。
< 31 / 88 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop