魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
 警備隊本部棟の裏。誰も来ないその場所でフィルとヴィオルドが話していた。建物の影が落ちて日陰になっており、空気はひんやりと冷たい。二人は地面に積まれた木製の箱に腰掛け、神妙な顔つきをしている。

「もう大丈夫なんですか?」
「最初から大丈夫だ。用がそれだけなら、俺は仕事に戻るぞ?」

 フィルはかける言葉が見つからず、無言になってしまう。ヴィオルドの過去を知っているからこそ、踏み込んではいけない気がしてそれ以上何も言えなかった。しかしこのまま行かせてしまってはいけない気がして、言葉を必死に探す。

 そんな状況を一歩離れたところから見ている人影があった。ミーナはヴィオルドを見つけたものの、割り込めない空気に圧倒されて物陰に身を隠している。ヴィオルドとフィルが二人の世界にいるような気がして、ミーナの心臓の鼓動が早くなる。なぜ二人が個人的な話をしているだけで焦っているのだろうか。
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