魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
五章
 ヴィオルドの両親は隣国にある、【明けぬ夜(ポラル・ノクシア)】という犯罪集団の一員だった。幼いヴィオルドはそんな犯罪まみれの世界で育つ。窃盗、障害、殺人。そんなことが当たり前のように起きており、団員の「功績」について聞くのが小さなヴィオルドの日課だった。

 そんなところに所属する大人は、まともなわけがない。ヴィオルドをかわいい子供として扱うこともあれば、憂さ晴らしの対象として抵抗できない彼に暴力を振るうこともあった。

 いつまでも無抵抗のサンドバッグではいたくない。そんな思いからまだ十歳に満たないヴィオルドは、大人に強くなる方法を問う。そうやって【明けぬ夜(ポラル・ノクシア)】の大人達も幼い頃から強さを身につけてきた。

 ナイフや剣などの扱い、動き方、人間の急所などを来たるべき「仕事」に備えて大人達は子供に戦う(すべ)を教える。
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