魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
 ヴィオルドは先程の二人以上に苦戦していた。両親の攻撃は速さと力強さを兼ね備えており、防ぐのも厳しい。生き残るにはこの二人を上回る速さ、もしくは工夫が必要だ。

 ヴィオルドは後ろ向きに進む足の向きを変えて、酒がこぼれているテーブルに駆け上がり、母親に向かって跳んだ。落下による加速と力の増加。

 彼女の、上に向かってナイフ突き刺す攻撃をギリギリで()わし、ヴィオルドはトドメを刺した。その隙を突こうと後ろからくる父親の攻撃を剣で防ぐ。そして動かなくなった母親のナイフを奪い、彼の左胸に突き刺した。

「…………お前は……闇の中でしか…………生きられない」

 それが父親が血とともに吐いた最後の言葉。そしてこの言葉はいつまでもヴィオルドの耳から離れることはなかった。

 ミーナ達が住むコリスツィア王国の隣、カタリカ王国の国民を震え上がらせていた犯罪集団【明けぬ夜(ポラル・ノクシア)】を崩壊させたのは、たった一人の十三歳の少年。彼はその後間もなく、ひっそりと国を去った。

 国を出たヴィオルドはユリウスに拾われ、数年後彼の紹介で衛兵に所属することとなる。
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