魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
「ヴィオが隣の部屋って、変な感じだなあ」

 バスタブに浸かりながら、今日を振り返るミーナ。一日で色々なことがあった。

 ドルークとヴィオルドの仕事部屋に押し入ったり、フィルとヴィオルドが一緒にいるところに乱入してしまったり、その流れでヴィオルドの過去を知ることになったり、魔法薬を作ったり。そして、ヴィオルドが隣の部屋に一晩泊まることになったり。

 彼女は自分を動かした出来事すべてが、ヴィオルドに関することだと気づく。いつの間にかヴィオルドの小さな言動に、一喜一憂するようになってしまった。以前から彼の一言に振り回されてなかったわけでもないが。

 ヴィオルドの過去、フィルといたときに感じた謎の不快感、ヴィオルドに対する感情の変化の現れ。ミーナが一人で処理しきれない情報がぐるぐると頭の中で渦巻いて、オーバーヒートしそうになる。

 やけに頭が重いと思ったら、長く浸かりすぎたのかのぼせてきた。彼女は熱をもって赤らんだ肌からバスタオルで水気を取り、絹でできた白いネグリジェを纏った。実家から持ってきたこのネグリジェは質が良く、肌触りが好み。上品にあしらわれたフリルとサテンのリボンも、彼女の中でポイントが高い。

 脱衣所を出て部屋に行くも、隣の部屋が気になってソワソワしてしまう。なんとなく音を立ててはいけない気がして魔法書を広げながら静かに過ごす。すると隣で扉が開閉する音が聞こえた。足音はそのまま洗面所の方へ向かっていく。

「……ヴィオなんて、のぼせて倒れちゃえばいいのよ」

 ミーナはいつものように悪態をつくが、どうも上手くいかなかった。自分の方がのぼせてしまったようだと、再び魔法書に視線を落とす。もちろん内容は全くといって良いほど頭に入っていなかったが。
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