魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
「あのさ、エルシーはどうしてあんなにハッキリ態度に出せたの? ……好きなこと」

 ミーナは息を整え本題に入った。恥ずかしさから誤魔化すように、小声でつけ足す。顔も薔薇色に染まっているが、本人は自覚していない。

 エルシニアの方はというと、この話題は黒歴史と化した過去の過ちを思い出さねばならなくなるので少し慌てていた。それを悟られると今度はエルシニアがお返しに遊ばれそうなので、笑みを貼りつけたまま返事する。

「あの時のあたくしはどうかしていたわよねぇ。今のアナタの態度が普通だと思うわ?」
「それもそうか。私、この気持ちどうすればいいのかな」

 彼女があっさり納得し、難を逃れたエルシニアは気づかれぬよう胸を撫で下ろす。それと同時にミーナのことについても考える。

 この疑問の最終的に行き着く先は、恐らく告白するかしないかである。あるいは告白させるという手もあるが、相手はあのヴィオルドで目の前にいるのはミーナだ。そのシチュエーションに持っていくには、なんとも頼りない役者ばかり。

 エルシニアは自分のことを棚に上げ、やれやれと前途多難な彼女の恋に同情する。

「そうねぇ、ミーナは彼とどうなりたいのかしらぁ? つき合いたいの? 友達のままでいたいの?」
「え、つ、つき合うとか、よく、わかんない……」

 彼女は薔薇色の顔をさらに真っ赤にして林檎のようだ。もうすぐ湯気が立つかもしれない。

 当の本人がこんな調子である。進む方向すらわかっていないのだ。しかし初々しさがあり、これもまた青春なのだろう。初めてというのは誰もが通る道だ。

「他の誰かとそうなってもいいのかしら? フィルのことをすごく気にしていたようだけれど」
「それは……なんか嫌だ」
「なら答えは出てるじゃない」

 ミーナはエルシニアの言葉で自分の気持ちを理解し、認めた。これで進む方向が見えてきた。

「さぁ、作戦会議を始めるわよぉ?」

 エルシニアの高らかな声が、豪華絢爛な部屋に響いた。
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