魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
 ロウソクを一つだけ灯してある薄暗い部屋で、ヴィオルドは一人沈んでいた。光の届いていない瞳で、窓からぼんやりと星を眺める。澄み渡った夜空には、眩い星々が光を放っていた。

 ヴィオルドから去っていったときのミーナの顔を思い出す度、彼は自分を許せない気持ちになる。結局、自分は人を傷つけることしかできないのだろう。

 けれど、こうするしかなかったのだ。彼の過去を明かした後でも変わらず接してきたミーナ。それだけでなく、手を差し伸べようと薬まで用意してくれた。彼女のような人を闇に引きずり込む訳にはいかない。闇の中でもがくのは、自分一人で充分。ミーナは優しい人に囲まれて、光の中で生きていく方が似合っている。

 ヴィオルドにとって、彼のもつ醜い人殺しの姿を知ってなお自分に向かってくる彼女は、いつしか大切な存在になっていた。

 不意にヴィオルドはカーテンを閉め、星空を遮った。血で汚れてしまった彼の目に映すのに、その空はとても美しすぎた。きっと彼女を遠ざけたのも、そうなのかもしれない。
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