魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
アデライドとレネに別れを告げ二人の家を出たミーナは、その足でエルシニアの住む屋敷へ向かった。
彼女は到着したのちエンテロコリティカ邸の繊細な装飾のほどこされたドアノッカーを叩き、使用人が出るのを待つ。程なくして先日と同じ使用人が扉を開いて出た。ミーナはエルシニアに会いに来たことを伝え、彼に部屋まで案内してもらう。
「それではごゆっくり」
エルシニアの部屋の前で使用人は頭を下げ、洗練された動作で自身の仕事に戻った。
彼女は深呼吸をすると、エルシニアの部屋を軽くノックした。乾いた音が廊下に響く。すぐ派手なドレスを着た彼女に迎えられた。
エルシニアはミーナの表情を見て何があったのかと考えを巡らす。喜びでも悲しみでもなく、落ち着いた表情。つい先日までの混乱にあふれていた態度はどこにもなかった。
とりあえず冗談の一つでも言ってみようとエルシニアは口を開く。
「あらぁ、どうしたのかしら? ……上手くいかなかったの?」
「そんなところ」
冷静な笑みで自嘲ぎみにミーナは答えた。
もう、恋に踊らされる乙女ではない。彼女の意思で、彼女のステップで踊るのだ。覚束なかった足取りは、安定しながらも流れる動きに変わっていた。
「ここに来たのはね、本当の目標がわかったから」
ミーナは穏やかな表情で静かに続ける。全てを理解した声音で、大切な気持ちを惜しむようにゆっくりと話している。
「ヴィオは訳ありで、ずっと苦しんでたの。だから私ね、ヴィオの力になりたい。たとえその資格がなくても。少しでもあの人の気持ちが楽になるのなら、私はなんだってする。そして私の自分勝手な気持ちでこれ以上あの人の負担になりたくない。それが、私の目標」
「……そう。アナタらしいわ。ならあたくしにできるアドバイスは少ないわねぇ。金に物言わせたくなったら、いつでも頼ってちょうだい……?」
事情を察したエルシニアは彼女に微笑みかけた。話を聞く以上、彼女に出る幕はないだろう。エルシニアは言葉の最後に冗談なのか本気なのかわからない言葉を添えて、いたずらっ子のように笑った。
彼女は到着したのちエンテロコリティカ邸の繊細な装飾のほどこされたドアノッカーを叩き、使用人が出るのを待つ。程なくして先日と同じ使用人が扉を開いて出た。ミーナはエルシニアに会いに来たことを伝え、彼に部屋まで案内してもらう。
「それではごゆっくり」
エルシニアの部屋の前で使用人は頭を下げ、洗練された動作で自身の仕事に戻った。
彼女は深呼吸をすると、エルシニアの部屋を軽くノックした。乾いた音が廊下に響く。すぐ派手なドレスを着た彼女に迎えられた。
エルシニアはミーナの表情を見て何があったのかと考えを巡らす。喜びでも悲しみでもなく、落ち着いた表情。つい先日までの混乱にあふれていた態度はどこにもなかった。
とりあえず冗談の一つでも言ってみようとエルシニアは口を開く。
「あらぁ、どうしたのかしら? ……上手くいかなかったの?」
「そんなところ」
冷静な笑みで自嘲ぎみにミーナは答えた。
もう、恋に踊らされる乙女ではない。彼女の意思で、彼女のステップで踊るのだ。覚束なかった足取りは、安定しながらも流れる動きに変わっていた。
「ここに来たのはね、本当の目標がわかったから」
ミーナは穏やかな表情で静かに続ける。全てを理解した声音で、大切な気持ちを惜しむようにゆっくりと話している。
「ヴィオは訳ありで、ずっと苦しんでたの。だから私ね、ヴィオの力になりたい。たとえその資格がなくても。少しでもあの人の気持ちが楽になるのなら、私はなんだってする。そして私の自分勝手な気持ちでこれ以上あの人の負担になりたくない。それが、私の目標」
「……そう。アナタらしいわ。ならあたくしにできるアドバイスは少ないわねぇ。金に物言わせたくなったら、いつでも頼ってちょうだい……?」
事情を察したエルシニアは彼女に微笑みかけた。話を聞く以上、彼女に出る幕はないだろう。エルシニアは言葉の最後に冗談なのか本気なのかわからない言葉を添えて、いたずらっ子のように笑った。