魔法の使い方2 恋のライバル、現る!?
ミーナとヴィオルドが二階へ上がったあと、フィルはユリウスに出されたお茶を静かに飲んでいた。他のテーブルから聞こえる声を縫うように、秒針の時を刻む音が響いている。
とん、と軽い音を立てて熱いコーヒーの入ったコップが彼女の向かいの席に置かれた。視線を上げるとユリウスがいる。洗い物を終え注文も入っていないため、やることは特に無さそうだ。
「ここで少し休憩して良いかな?」
「ユリウスさん、どうぞ座ってください」
フィルは片手で向かいの椅子を指しながら返事をした。ユリウスは気品を感じられる動作で腰掛ける。コーヒーからは香り高い湯気が立ち上っていた。彼はフィルの目を見て知りたかったことを問う。
「昨日の夜、ミーナが急にいなくなるしヴィオルドは自虐的な表情を浮かべるだけで詳しく話してくれないし、私は心配だったんだ。それが今日のお昼前にミーナがすっきりした顔で帰って来たものだから驚いたよ。きっと二人の間に何かがあったのだよね。何だと思う?」
「二人が戻ってきたらきっとわかりますよ」
そう言いながらフィルが階段へ視線を移すと、頬を紅潮させたミーナとヴィオルドが踊り場から下ってくるところだった。二人寄り添うように横にいるのに、どこかぎこちなくてよそよそしい。それでもお互いを見るときの目は優しかった。
一階まで下りてきた二人はユリウスとフィルの元へ行く。
「待たせたな、フィル。仕事の途中だったし、戻ろう」
「はーい」
二人の様子からなんとなく事情を察し一人うんうんと頷くユリウス。ミーナはなんだか恥ずかしくてずっと下を向いている。
ヴィオルドはミーナに「また明日来る」と言い残して店の扉をくぐった。彼女は顔を上げて「待ってるから」と返す。
その日を境に、ヴィオルドは魔法の薬がなくても悪夢にうなされることはなくなった。
【終わり】
とん、と軽い音を立てて熱いコーヒーの入ったコップが彼女の向かいの席に置かれた。視線を上げるとユリウスがいる。洗い物を終え注文も入っていないため、やることは特に無さそうだ。
「ここで少し休憩して良いかな?」
「ユリウスさん、どうぞ座ってください」
フィルは片手で向かいの椅子を指しながら返事をした。ユリウスは気品を感じられる動作で腰掛ける。コーヒーからは香り高い湯気が立ち上っていた。彼はフィルの目を見て知りたかったことを問う。
「昨日の夜、ミーナが急にいなくなるしヴィオルドは自虐的な表情を浮かべるだけで詳しく話してくれないし、私は心配だったんだ。それが今日のお昼前にミーナがすっきりした顔で帰って来たものだから驚いたよ。きっと二人の間に何かがあったのだよね。何だと思う?」
「二人が戻ってきたらきっとわかりますよ」
そう言いながらフィルが階段へ視線を移すと、頬を紅潮させたミーナとヴィオルドが踊り場から下ってくるところだった。二人寄り添うように横にいるのに、どこかぎこちなくてよそよそしい。それでもお互いを見るときの目は優しかった。
一階まで下りてきた二人はユリウスとフィルの元へ行く。
「待たせたな、フィル。仕事の途中だったし、戻ろう」
「はーい」
二人の様子からなんとなく事情を察し一人うんうんと頷くユリウス。ミーナはなんだか恥ずかしくてずっと下を向いている。
ヴィオルドはミーナに「また明日来る」と言い残して店の扉をくぐった。彼女は顔を上げて「待ってるから」と返す。
その日を境に、ヴィオルドは魔法の薬がなくても悪夢にうなされることはなくなった。
【終わり】