花と誠の想い
「トシ!うどんでも食おう!俺の奢りだ!」
「あぁ、」
話半分で歩いていると
この街で嗅いだことの無い香りがした。
花のような木のような自然で優しい香り
懐かしく愛おしい忘れられない香りに
思考が停止した。
タッタッタッ
「おい!トシ!!どこ行くんだ」
近藤さんが呼んでる。
でも今はそれどころじゃねぇ。
確かめなくちゃならねぇことがある。
「…はァ…はァ…トシぃ
そんな急に走り出さんでくれ…
何があったんだ?」
目の前にある
信じられない光景に時間が止まった。
「ひまわり…?」
あのころと同じ姿で
座って寝ている彼女を見つけた。
いい夢を見ているのか優しい笑顔で、
なのに、急に困った顔になって、悲しい顔をして、寝てるのに百面相でもしてんのか?
「おい…トシ……この子は…」
近藤さんの声が聞こえねぇ
どうすればいい…?
人違いか?見た目が似ているだけなのか?
いや、でも、香りが…
アイツからしかしねぇ、いい香りがする。